不動産投資のこんな運用
朝令暮改の指示もあるが、「世の中が常に変化しているから当たり前だ」とSは言う。
大きく舵を切ることもある。
それが可能なのは日々、変化に対応できるように組織や人材が柔軟な体質を保っているからである。
業革やFC会議はその柔軟な体質を鍛える場になっている。
「S」を訪れる年間延べ4億人の消費者。
この4億人分の莫大な販売データこそが、Sがお家芸とするオリジナル商品の開発と、売り逃しを防ぎ、売れ残しを撲滅する強力な武器になっている。
SのPOSレジには、精算の際に店員が必ず押さなくてはならない「テンキー」がある。
キーの色は青とピンク色で、それぞれ「12」「19」「29」「49」「50」の数字が書かれている。
青は男性客、ピンクは女性客を示し、数字は年齢層を意味する。
「19」なら2歳未満、「29」は2歳以上29歳以下、「49」は30歳以上49歳以下、「50」は50歳以上となる。
これは「年齢・性別キーボード」というもので、店員は顧客の年齢を推定してキーを押す。
例えば、男子高校生風の客が来たとする。
店員は、POSレジにあるバーコードリーダーで商品についているバーコードをスキャンする。
すべての商品をスキャンし終わったら、最後に「年齢・性別キーボード」の青色のキー「19」を押す。
4歳代と見られる女性ならピンクの「49」、高齢の男性なら、青の「50」といった具合だ。
この「年齢・性別キーボード」があるだけで、「どんな客」が「どんな商品」を「いつ」、「何個」購入したかがデータとして蓄積される。
メーカーが手塩にかけて開発した商品でも、工場から出荷されてしまうと「誰が買ったのか」ほとんど何もわからない時代が続いていた。
Sは1985年のPOSレジ導入時、新たな機能として「年齢・性別キーボード」を加えた。
当時は第2次オイルショックを経て、モノ不足からモノ余りへと大きく転換しつつある時代だった。
メーカー主導による大量生産、大量販売戦略は通用しなくなり始めていた。
店側は「年齢・性別キーボード」を活用して売り場づくりの参考にした。
90年代に入ると、客層情報をメーカーにフィードバックするようになった。
店頭発のデータを商品開発に役立てるチーム・マーチャンダイジング(チームMD)にとって、なくてはならない貴重なデータとして注目されるようになった。
消費者の顔が見えにくくなる中で、「年齢・性別キーボード」は消費者に近づく有効な手段だった。
90年代半ばに酒造メーカーがカクテルや焼酎の商品開発を急ぐようになったのは、「年齢・性別キーボード」によって、20代の消費者がビールよりカクテルや焼酎などのアルコール類を好むことが分かったのがきっかけだった。
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